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今回は、会社の経営者が抱えがちな「人材」の問題と、その解決方法について紹介します。

テーマは「部署リーダーの選出」について。

具体的には、組織の中で誰を、どのようにして部署のリーダーに就かせるのかということですね。

さっそく見ていきましょう!

1つ目のポイントは、「アカウンタビリティ・チャートを使う」です。

アカウンタビリティ・チャートは、会社の人材を整理整頓するためのツールです。
会社の成長戦略を描き、それに基づいて組織構造を組み立てていくのが特徴です。

最終的には会社の「組織」まで構築できる強力なツールなのですが、ここでは、以下の基本原則だけ押さえておくようにしましょう。

<アカウンタビリティ・チャートの基本原則>

1.将来を考えること。過去を振り返っても、現在の状況にとらわれてもいけない。
そんなことをすれば判断を誤る恐れがある。
2.現在の会社、現在の役割、エゴは切り捨てて考える。
3.会社よりも高い視点に立ち、見下ろすように会社を客観視し、
会社全体の長期的な利益のために 意思決定を下す。

※書籍『TRACTION』より

2つ目のポイントは、「『席』を定義する」です。今回の場合であれば、まず「部署リーダー」という席の定義を行い、その上で席にフィットする人材を選びます。多くの会社では、「周りの人間をどう使いたいか」「すでにいる社員をどう配置するか」を考えて組織やチームを構築しています。

たまたまいる「鈴木さん」「長谷川さん」「山口さん」を「あなたは営業です」「あなたは経理です」「あなたは人事です」などと割り振るわけです。

しかしそれでは、本当に作りたい組織・チームは作れません。

加えて経営者は、「その席に就ける人がいない」「その役割や責任を果たせる人がいない」といった事実を認めたくないと考えています。だから、社内に今いる人をそれぞれの役割に当てはめようとするのですが、それでは課題解決になりません。アカウンタビリティ・チャートの基本原則を踏まえて、まず席を定義し、その席にフィットする人を“社内外”から見つけることが、根本的な課題解決につながります。

3つ目のポイントは、「GWCで見極める」です。

席を定義したら、次にこの席にフィットする人を見極めていくのですが、フィットするかどうかを判断するには何らかの指標が必要ですね。そこで紹介したいのが「GWC」というツールです。

GWCは、次の3つの言葉の頭文字を取ったもので、これらの指標をもとにフィットする人材を見極めていきます。

・「Get it:業務を理解できる」
・「Want it:業務に対するやる気がある」
・「Capacity to do it:業務を遂行する能力がある」

1つ目の「Get it」は、「その業務を理解できるか」という指標です。

「理解する」とは、自分の役割、企業風土、システム、仕事のペース、仕事を軌道に乗せる方法について理解できるということです。ただ仕事内容を分かっているだけでなく、これらすべてを理解しているかどうかが大事です。

2つ目の「Want it」は、「業務に対するやる気があるか」という指標です。

「やる気」とはつまり「その仕事が心底好きかどうか」ということですね。仕事は、それを本気でやりたい人に任せるべきです。その仕事が好きな人であれば、誰よりも情熱的に働いてくれます。

例えば、物書きの人は誰が何と言っても文章を書く仕事をしますし、そこに情熱を傾け、満足できる文章が書ければ嬉しい気持ちになります。けれど文章を書きたいと思う人でなければ、毎日書くのは苦痛でしょうし、時間をかけてそれを磨きたいとも思いません。本当に好きな人は、その仕事をさせてもらうだけで嬉しいのです。仕事に対する愛情がなければ、仕事をさせても長持ちしないでしょう。

自分がどのような仕事に情熱を傾けられるのかは、いろいろな経験を経てわかります。私の場合は、組織の整理整頓に情熱を持つ人間で、いまの仕事をさせてもらうだけで嬉しいです。例えば「カールさん、あなたは頭が良くていろいろな経験があるから経理担当になってください」と言われたら、一日中数字を見ることになるので私には無理でしょう。ポイントは、やる気の有無にあるのです。

3つ目の「Capacity to do it」は、「業務を遂行する能力があるか」という指標です。

「能力」とは、仕事をきちんと遂行するための時間管理、知能、身体的能力、精神的能力を持っているということです。週に50時間の労働が求められるポジションに、週40時間しか働きたがらない人を就かせるのは適切ではありません。知能、身体、精神レベルに関しても同様です。

これら3つの指標に対してはっきりした「イエス」の人でなければ、その席に就かせるべきではありません。その仕事をしたくない人を無理に席に当てはめて「よろしく頼む」と言っても、うまくいかないのです。

多くの会社では「鈴木さん、部署リーダーお願いね」と曖昧な基準で仕事を任せてしまっています。鈴木さんとしても、社長に頼まれたら「頑張ります!」と言わざるを得ないのですが、それでは会社もチームも良くなりません。

GWCを使い、席へのフィットを着実に行うことが大切です。

<レベル1>

レベル1のチャレンジは、「あなたの会社で調べてみる」です。

まずは、社内の人間をチェックしてみましょう。アカウンタビリティ・チャートの基準に則っているか、席の定義があるか、GWCのすべてに「イエス」であるかどうかを確認してみてください。3つのポイントを踏まえていなければ「うまくいっていない」という結論になるはずです。これで経営者が自分の目での課題を洗い出しています。

<レベル2>

レベル2のチャレンジは、「その席の人にヒアリングしてみる」です。

会社の中のリーダー達に確認して、正直な話を伺いましょう。座っている席の定義正しく理解できていますか?GWCそれぞれ本人の意見で満たされていますか?(はっきりした「イエス」が基準ですよね。)このチャレンジでは、批判するよりも情報収集が目的です。会社の課題がもっときれいに見えてくるでしょう。

<レベル3>

レベル3のチャレンジは、「リーダーの席こそGWCにこだわる」です。

これはもっとも厳しい基準で、フィットしない人をリーダーの席から外してGWCが満たした人だけを座らせることです。慎重に行なってください。会社の外から新しい人を見つけなければならないこともあります。リクルート費用のお金がかかる場合もあります。戦略的に考えて、一四半期に一人分だけの入れ替えを行えば、うまくいくでしょう。

3つのポイントについて、理解していただけましたでしょうか?ぜひ実践し、効果を実感していただけますと幸いです。

私のクライアントはすべて中小企業なのですが、マネージャー向けの研修などがあってもなかなか参加できないようです。大手企業なら研修制度などもあるのですが、中小企業だと、予算を使ってわざわざ参加するのは難しいのです。だから「研修に行きたいね」で終わってしまいます。

本稿で紹介した3つのポイントも、知らない人が多いです。だから席の定義ができていなかったり、席へのフィットが不十分だったりするのですね。

優秀な経営者ほど「自分でできるから大丈夫」と思ってしまうのですが、それでは会社の成長に限界があります。勇気を持って任せられる人を“社内外”から見つけていくことが大事です。

「人に任せていいのだろうか……」「任せたいけれど、任せられていない……」と悩む経営者もいると思いますが、本稿の内容を踏まえて、まずは最初の一歩を踏み出しましょう。

社員の適材適所が実現できず、従業員が次々に辞めている会社のパターンはどれも似通っています。

ぜひアカウンタビリティ・チャートの活用、席の定義、そしてGWCを用いた席へのフィットによって、状況を改善していきましょう。

あなたの「新しいリーダーに部署を任せることができました!」という声をお待ちしています。


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