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あなたの会社にとっての正しい「バリュー」を見極めるたった1つの方法

今回は、会社にとって欠かせない「バリュー」の見極め方について解説します。

日本の中小企業では、このバリューに対する理解がほとんどありません。

間違って理解していたり、掲げていても機能していなかったりするケースが大半です。

そこで、バリューについてきちんと理解し、御社のさらなる発展に役立てていきましょう!

バリューのことを、EOSでは「コア・バリュー」と呼んでいます。

その意味は「共有するべき価値観」です。

これは単に、オーナー・経営者が大切にしている理念やコンセプトではなく、会社で働く全社員が共有すべき価値観ということです。

みんなで共有できていなければ、そのコア・バリューは正しく機能しません。

全社員が共有するためには、伝えやすさにこだわる必要があります。

コア・バリューが伝えやすく、かつ理解しやすいものであってこそ、全社員が無理なく共有できるのであり、それこそがその会社のコア・バリューとなります。

コア・バリューを設定したのにもかかわらず、何も変わらないどころか、誰も気にしていないようではダメなのです。

例えば、「バリュー」と聞いたときに、あなたは何をイメージしますか?

よくあるのが「価値」や「提供価値」などですが、そこには思い込みがあります。

もしバリューが単なる「価値」なのであれば、それを明確にしたとしても、全従業員が納得して受け入れつつ、普段の仕事に活かせないでしょう。

もっと具体的に、かつ活用できる内容として定義しなければなりません。

だからバリューとは、従業員や経営者も含めて、全社員で共有すべき価値観のことだと理解する必要があるのです。

EOSでは、バリュー(コア・バリュー)を非常に重視しており、仕事をする前に、その人の心構えや態度がそのバリューに合致しているかどうかを必ず確認します。「コア」という言葉を使って、「心が同じである」と指します。

当然、コア・バリューは会社によって異なります。

会計士事務所におけるコア・バリューは「正確性」かもしれません。

ソフトを開発するベンチャー企業であれば、「どれほど遅くまで働いていたとしても、お客様が喜ぶソフトを完成させる」ことかもしれません。

自分の会社の従業員を見てみてください。

みんなで一つの価値観を共有しているでしょうか?

もしかしたら、バラバラなのではないでしょうか?

コア・バリューを適当に作ってしまうと、価値観を共有できないままとなり、会社は一つにまとまりません。

だからこそ、コア・バリューをきちんと設定することが大事なのです。

仕事の中でコア・バリューを直接体現しているかどうかは、職種によって異なります。

従業員ごとに、それぞれ仕事の中身は異なります。

セールスの人とバックオフィスの人では、担当する業務が違いますよね。

ただ、会社全体から見た場合、共有すべき価値観はその上のレベルにあるものです。

「セールスに対する熱意を持つ」とか「バックオフィスの業務を正確にこなす」というものではなく、共有すべき価値観は普遍的かつ本質的なものです。

そこを見極めることが大事です。

表面的な仕事だけでは、コア・バリューを体現しているかどうかはわからないのです。

共有するべき価値観をもとに、どのような人材を採用するべきなのかもわかります。

むしろ「このような人間が欲しい」というのが、コア・バリューであるとも言えるでしょう。

EOSでは、コア・バリューを体現できる人こそ会社にとって「正しい人」であり、そのための判断基準にもなると考えます。

セールスパーソン、マーケティングマネージャー、現場の職人、バックオフィスなど、どの職種においても、高いレベルでコア・バリューを体現していなければなりません。

コア・バリューに合わない人と仕事をすると、方向性が違うため、うまくいかないのです。

一例をあげてみましょう。

「お客様の話を最後まで丁寧に聞いてあげる」ことがコア・バリューの会社であれば、お客様との時間を大切にしなければなりません。

一方で、「効率よく取引をすることが最善だ」「一日のノルマは必ず達成しなければならない」と考える人がいたら、価値観がずれていますよね。コア・バリューが合いません。

そのような人がいると、会社の評判は崩れてしまいます。

全員が同じような考え方していないから、お客様に信用されないのです。

人材を最適化していくためにも、「私たちのコア・バリューは何か」「どのような普遍的な価値観を共有すべきか」を話し合い、そのための物差しを作らなければなりません。

どのような価値観を共有するべきかを見極めれば、採用するべき人材も見えてきます。

それが結局、社員の評価にもつながるのです。

どうしてもコア・バリューを理解できない人は、会社に合わず、採用できません。

そのような人が社内にいる場合は、会社を離れてもらう決断をすることも必要なのです。

上記の内容を踏まえて、コア・バリューに関する具体的なアクションを紹介します。

実は、コア・バリューはゼロから作る必要はありません。そうです!

御社の中にあるコア・バリューを、発見すればいいのです。

「自分たちには、このようなコア・バリューがいいかな」と考えるのではありません。

すでに御社の中にコア・バリューが生きています。

ぜひ、自分たちのコア・バリューを見つけてください。

そのために、以下のアクションを実践してみてください。

<レベル1>

会社の中で一番頼りになり、かつ素晴らしい仕事をしてくれる人を3〜4人ほど選んでください。

経営者自身ではなく、それ以外の人を選ぶようにしましょう。

選んだら、その人の特徴を説明する形容詞を選んでください。

例えば「粘り強い」「親切」「人の話を最後まで聞く」「お客様に寄り添う」などです。

その中に同じようなもの、共有されているものがあるとすれば、それが御社にとってのコア・バリューかもしれません。

コア・バリューの数は3個から7個まででいいでしょう。分かりやすく、管理しやすくするために、少ない方がいいでしょう。

<レベル2>

次に、その形容詞にあてはまる具体的な行動を考えてください。

それはどのような場面で見られるでしょうか?

私たちは人心を完璧に読むことはできません。

しかし、その人の価値観は行動で現れているはずです。

それをチェックしてください。

例えば、私のお客様に動物病院を経営している会社があります。

その会社に所属しているメンバーは優しい人ばかりで、ワンちゃんや猫ちゃんのことを思いやり、患者さんに寄り添うことを重要な価値観として共有しています。

そのような会社では、「効率だけを考えている人」は合いませんね。

具体的な行動の例を考えると、会社のコア・バリューが見つけやすくなります。

<レベル3>

コア・バリューが決まったら、経営者が定期的に社員に説明する・強調するコア・バリューのスピーチを行なってください。これでコア・バリューがさらに活用するようになります。

それぞれのコア・バリューに小さいストーリーを作ったり、行動の例を説明したりすると、会社全員の基本知識になります。お互いに同じ話を繰り返して、自然にとなりの人の生きたコア・バリューを見えるようになります。誇りに思う社内文化が生まれます。

四半期一度のペースでぜひ全員にコア・バリューのスピーチを楽しく発表してください。

コア・バリューは、会社にとって非常に頼りになります。

普遍的な、ずっと使える強力な武器になるのです。

採用にも使えますし、社員に注意をするときにも「うちはこういうコア・バリューを掲げているのですが、理解できていますか?」という話ができます。

コア・バリューという物差しがあることによって、共有すべき価値観を確かめながら、会社を一つにまとめることができるのです。

繰り返しになりますが、私たちは人間の心を完璧には読めません。

だからこそ、採用の場面では、必ずコア・バリューに立ち返る必要があります。

私はクライアントに対して、何度もそのことを伝えています。

絶対に、絶対に、絶対に、徹底してコア・バリューに立ち返ることが大事なのです。

コア・バリューが徹底されていると、マネジメント(管理)がしやすくなります。

価値観が同じなので、社員を叱る必要がなくなり、褒めればいいだけです。

採用基準には、「若さで選ぶ」「元気かどうかで選ぶ」「面白い面接をしてくれるどうかで選ぶ」などいろいろありますが、ぜひその人の行動に現れる価値観を見るようにしてください。

例えば、こんな質問をするのはどうでしょうか。

「あなたはある仕事を担当していて、締め切りが迫っています。お客様に対してどのように伝えますか?」

得られた回答に、その人の価値観が出てくると思います。

これを採用面接に応用すると、次の3つのステップで組み立てることが可能です。

<ステップ1>

最初の面接では、コア・バリューについてだけ話します。

それ以外は一切、話しません。

価値観が合うかどうかを、この段階で確認します。

<ステップ2>

次の段階では、「何ができるのか?」を聞きます。

マーケティングであれば、具体的な課題を出して「あなたならどういうふうに解決しますか?」「マーケティング計画を立ててください」とお願いします。

この課題によって、実務能力があるかどうかをチェックできます。

<ステップ3>

最終面接は、社長との面接です。

社長はあらためてコア・バリューについて説明し、一つ一つ、理解しているかどうかを聞きます。同時に、具体的な行動についても説明します。

この段階でのフックとしては、「会社に入りたいのなら、コア・バリューを理解していただき、それを強化していくことに協力していただきます。それができないとあなたをクビにすることもありますが、よろしいですか?」と言うわけです。「ぜひ!」と答えてくれる方を雇いましょう。

いかがでしょうか。

これらのステップによって、御社のコア・バリューにマッチした最適な人材を採用することができるでしょう。

もちろん、社員の評価にも応用できます。

今回は「バリュー」についてお話しました。

次回の記事では、「ミッション」と「ビジョン」の作り方について解説します。

バリューとともに理解することで、あなたの会社をより成長させることができるでしょう。

それでは、次の記事でお会いしましょう!

より良い会社、今日から始めよう。